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レポート)プログラミング学習に「アート(創造性)」の要素を取り入れた教材『easel AP』を使って、中高生にワークショップを行いました。

イベント・講演等

アートプログラミングワークショップ風景

一般社団法人デジタル人材共創連盟は、大阪市立美術館、公益財団法人大阪産業局、株式会社INERTIAとの連携で、中学生・高校生を対象にしたアートプログラミング(デジタルアート)に関する体験型ワークショップを開催しました。ワークショップでは、慶應義塾大学環境情報学部教授でありアーティストの脇田 玲氏をお招きし、脇田氏の作品鑑賞から実際に教材を使ったプログラミングや作った作品の発表まで行われました。

  • 日時:2022年10月10日(月・祝)/13:00~16:00
  • 場所:大阪市立美術館(大阪市天王寺区茶臼山町1-82)
  • 対象:アートプログラミング(デジタルアート)に興味のある中学生・高校生
  • 費用:参加費無料(タブレット端末orパソコン必須)

イベントの詳細はこちら:
プログラミングに「アート(創造性)」の要素を取り入れた、新しい教育ソフトの中高生等向けワークショップを開催します。

イベント概要

  • ご挨拶
  • 脇田氏作品紹介
  • 作品鑑賞
  • ワークショップ
  • まとめ

イベントレポート

ご挨拶

アーティスト脇田 玲氏の挨拶で、ワークショップがスタート。
当日はあいにくの雨にもかかわらず、中高生12名が参加してくださいました。

アートプログラミングワークショップ風景

脇田氏作品紹介・作品鑑賞

挨拶の後、脇田氏がこれまでどのような作品を創られてきたのか、また、その背景にある考えを参加者にお話いただきました。

脇田氏作品紹介・作品鑑賞

脇田氏はプログラミングを表現のツールとして用いて、アートとサイエンスを横断する創作活動を行われています。
作品紹介の後は、このワークショップにあわせて展示された脇田氏の作品『Holiness』を鑑賞。
『Holiness』は光の反射と屈折をコンピュータで解析した作品です。
人が神秘性を感じるものには、光のパターンが大きく起因しているのではないかという仮説をたて、世界中の建築物の中から神聖さを感じさせる建築をモチーフに光のパターンを計算し作品化したそうです。反射や屈折の角度によっては十字架のようなパターンにも見えます。参加者は作品にじっくり見入って、それぞれが感じたことを自分の中で味わったり、友達と話したりしていました。

作品

脇田氏
「プログラミングを用いることで、見えない世界を見ることができます。皆さんの作るプログラムの中にも新しい発見があるかもしれません。プログラミングにより日常に隠された風景を捉えられるようになると、世界が少し違って見えてきます。こうした創作活動の過程には豊かな学びがあります」と語りました。

脇田氏は本ワークショップで活用した教材「easel AP(イーゼル エーピー)」の監修者でもありますので、そうした思いを込めて開発にも取り組まれたそうです。

easel AP(イーゼル エーピー)

easel AP:https://easelart.io/

ワークショップ

作品を鑑賞した後は、学生たちが実際に手を動かして、アートプログラミングに取り組んでいきます。

  • アートプログラミングワークショップ風景
  • アートプログラミングワークショップ風景

皆さん、真剣にコードを打ち込んでいる姿が印象的でした。

  • アートプログラミングワークショップ風景
  • アートプログラミングワークショップ風景

友達と相談し合うなど、チーム学習の一面も。

発表風景

優秀な作品を作った学生には発表してもらいました。

まとめ

脇田氏
「コンピュータの特性として、速さ、量、繰り返しということが言われています。この3つの特性をうまく活かすことで、人間にはできないような面白い表現ができる可能性が高い」「プログラミングは人間とコンピュータの共同作業なので、創作のパートナーとして特性を理解して使っていくとよいでしょう」と語りました。

また、学生たちが聞いたことがないような言葉、「生成的 generative」というキーワードも出てきました。物事を生じさせる、新たに生むといった意味のあるこの言葉は、まさにプログラミングを使ってアートを生み出すその行為に直結することです。
そしてその創作過程の中で、意図したものを創る「プロダクション」から、創っていく過程で発見がある「コンセプション」へ変化していくことが大切だと伝えていました。

普段、学校等の課題では決められたプログラミングのコードを書いていくような、既にある正解を探っていく行為が多いですが、社会では「やりたい」と思ったことを実現していくための行為が中心です。そしてその中で発見や課題を見つけていき、より良いものを生み出していく。そうしたことを実践的に体験できるのが、アートプログラミングの良さなのです。

集合写真

さいごに

学生たちがスピーディにコードを書きながら、自身のイメージを具現化していく姿に、大人のスタッフ達は圧倒されていました。
今の子供たちはこれが当たり前であり、更にこの力を楽しみながらもっと取り組んでいきたいという意欲もある。その中で、デジ連として何ができるのかを考えさせられる良い機会になりました。

今後、このような中高生等が教材に触れられるワークショップ情報を、定期的に発信していきます。皆様お楽しみに。

使用した教材

easel AP(イーゼル エーピー)

easel AP(イーゼル エーピー)/株式会社INERTIA

これは、プログラミング学習に「アート(創造性)」の要素を取り入れた、全く新しいオンライン・プログラミング教材。スマートフォンやタブレットで、さまざまな視覚的表現(イメージ、アニメーション、インタラクション)を制作しながら、プログラミングを手軽に学ぶことができる。情報Ⅰや美術の授業だけでなく、総合学習や技術、数学、音楽、英語など、様々な授業で活用されている。

easel AP:https://easelart.io/

株式会社INERTIA:経済産業省が実施する『EdTech導入補助金』を活用して、全国約50の小学校、中学校、高校に『easel AP』の導入実績あり。

HP:https://inertiaart.io

講師

大阪市立美術館

  • 大阪市立美術館_外観
  • 大阪市立美術館_内観

ワークショップ会場は、大阪・天王寺にある「大阪市立美術館」
2022年9月26日(月)~2025年春(予定)まで長期休館しています。
休館中に美術館の新しい価値を高めようと、美術館初のデジタル系ワークショップ開催に至りました。

https://www.osaka-art-museum.jp

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